はじめに
このガイドでは、macOSのターミナルから ImageMagick という強力なツールを使い、PSDファイルをJPEGやPNGなどの一般的な画像形式に一括で変換する方法を解説します。数百のファイルでも一度のコマンドで処理できるため、デザイン作業の効率が飛躍的に向上します。
Step 1. ImageMagickのインストール
Homebrewをまだインストールしていない場合はこちら
ImageMagickのインストールには、macOS用のパッケージマネージャー「Homebrew」が必要です。
以下の手順で先にHomebrewをインストールしてください。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを貼り付けて実行します。
- 途中でMacのパスワードを求められたら、入力してEnterキーを押してください。(画面には表示されません)
- 「Press RETURN to continue」と表示されたら、Enterキーを押してインストールを続行します。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
Homebrewの準備ができたら、ターミナルで以下のコマンドを実行してImageMagickをインストールします。
brew install imagemagick
Step 2. PSDファイルの一括変換
インストールが完了したら、いよいよ変換作業です。最初に cd
コマンドで、変換したいPSDファイルが保存されているフォルダに移動してください。
注意
これから紹介する mogrify
コマンドは、元のPSDファイルと同じ場所に変換後のファイルを作成します。元のファイルが上書きされることはありませんが、心配な場合は事前にバックアップを取っておきましょう。
例1: すべてのPSDをJPEGに変換する
フォルダ内のすべての .psd
ファイルを .jpg
ファイルに変換します。
mogrify -format jpg *.psd
例2: すべてのPSDをPNGに変換する
出力形式を png
に変えるだけで、背景が透明なPNGファイルとして保存できます。
mogrify -format png *.psd
例3: 画質を指定してJPEGに変換する
-quality
オプションを使うと、JPEGの圧縮率(画質)を0から100の数値で指定できます。一般的には 85
〜 95
がよく使われます。
mogrify -format jpg -quality 85 *.psd
応用的な変換オプション
複数レイヤーを結合して変換する方法
Photoshopで表示されるような、すべてのレイヤーが統合された1枚の画像として出力したい場合は、以下のオプションを使います。
方法A: -flatten
オプション
レイヤーをすべて結合(フラット化)して、1枚の画像として書き出します。これが最も確実な方法です。
mogrify -format jpg -flatten *.psd
方法B: 最初のレイヤー [0]
を指定
PSDファイルの最初のレイヤー(通常は統合されたプレビュー画像)を指定して変換します。
mogrify -format jpg *.psd[0]
※この方法では、出力ファイル名が `file-0.jpg` のように連番になることがあります。
レイヤーごとに出力する方法
ImageMagickは、PSDの構造を忠実に読み取るため、オプションを指定しない場合、各レイヤーを個別の画像として出力することがあります。
これは、すべてのレイヤーを一度に書き出したい場合に便利な機能です。
mogrify -format jpg *.psd
このコマンドを実行した際に、`file-0.jpg`, `file-1.jpg`, `file-2.jpg` ...のように複数のファイルが生成された場合、それは各レイヤーが個別に画像として出力されていることを意味します。
もし1枚の画像にしたい場合は、上記の「複数レイヤーを結合して変換する方法」を試してください。