Workers AIとは?
Cloudflareの持つ世界中のネットワーク上で、サーバー管理不要(サーバーレス)でAIアプリを動かせるプラットフォームです。AIの処理(推論)をユーザーの一番近くで行うことで、驚くほど速い応答速度を実現します。
【初心者向け】エッジでAI推論?
エッジとは「ネットワークの端」、つまりユーザーに物理的に近い場所のことです。従来は遠くのデータセンターでAI処理を行っていましたが、それをスマホの最寄り基地局のような場所で行うイメージです。これにより、通信の往復時間が大幅に短縮され、AIの応答が速くなります。
それを支えるCDNとは?
CDNは、Webサイトの画像などのコンテンツを世界中に分散させたサーバーに一時保管(キャッシュ)しておく仕組みです。ユーザーがアクセスすると、一番近いサーバーからコンテンツを届けるため、Webサイトが高速に表示されます。Workers AIは、このCDNのネットワークをAI処理のために活用しています。
AIアプリ開発はどう変わったか?
従来の方法 (Before)
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複雑なインフラ構築
GPUサーバーの選定、OSインストール、環境構築など、専門知識と時間が必要でした。
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API Gatewayの管理
APIを自前で開発し、セキュリティやアクセス制御を管理する仕組みが必要でした。
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遅延と拡張性の課題
ユーザーとの物理的な距離による遅延(レイテンシ)や、アクセス急増への対応が大きな課題でした。
Workers AIの解決策 (After)
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インフラ管理が不要に
サーバーのことは一切不要。開発者はコードを書くことだけに集中できます。
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数行のコードでAIを呼出し
複雑なAPIは不要。スクリプト内に数行のコードを書くだけで、最先端のAIモデルを利用できます。
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超低遅延と自動スケール
ユーザーの近くで処理するため高速。アクセスが増えてもCloudflareが自動で対応してくれます。
どんなことに使えるの? (活用例)
リアルタイムコンテンツ生成
チャットボットの即時応答や、入力した文章からの画像生成など。
画像・音声の解析
アップロードされた画像の自動タグ付けや、音声ファイルの文字起こしなど。
高度な検索機能
質問の意図を汲み取って最適な答えを返すセマンティック検索など。
コードはこんなにシンプル
これは、「犬の画像」というテキストから画像を生成するAIを呼び出す実際のコード例です。インフラに関する記述が一切ないことに注目してください。
// Cloudflare Workersのスクリプト内で実行
import { Ai } from '@cloudflare/ai';
export default {
async fetch(request, env) {
// 環境変数からAI機能を初期化
const ai = new Ai(env.AI);
// AIに渡すテキスト(プロンプト)
const inputs = {
prompt: '犬の画像'
};
// 画像生成AIモデルを呼び出す
const response = await ai.run(
'@cf/stabilityai/stable-diffusion-xl-base-1.0',
inputs
);
// 結果を画像として返す (実際のコードでは画像バイナリを返す)
return new Response(response, {
headers: { 'Content-Type': 'image/png' },
});
},
};